6年間、教科書で「運転の仕方」を勉強したけど、ハンドルには一度も触れなかったとしたら、運転はできませんよね。英語も、まさにそれと同じことが起きていたんです。技術の準備に何年も費やしたのに、実際にその技術を練習したことがなかった。

多くの人は、紙の上で英語を「解読」するように訓練されました。文を読んで日本語に変換し、意味を考える。話すときはその逆——まず日本語で考えて、それを英語に直す。頭の中で、慎重に。このやり方は、筆記試験には有効です。読解にも使えます。でも、実際の会話のスピードには対応できません。

Gabriel Wynerの著書『脳が認める外国語勉強法』(原題:Fluent Forever)は、このギャップに正面から取り組んでいます。魔法のような効果を約束するのではなく、トレーニングの問題を根本から直す——つまり、あなたの脳がどのように英語を処理するように教わってきたか、その仕組みを変えるのです。

Fluent Forever 英語版表紙 脳が認める外国語勉強法 日本語版表紙

『脳が認める外国語勉強法』が変えるもの

この本の価値は、「魔法のような効果」を約束することではありません。出発点が違うこと、そして話すことを妨げる習慣を直すことにあります。「何を暗記すべきか」ではなく、「音を認識し、意味を記憶し、プレッシャーの中で言葉を引き出すために、脳は何を必要としているか」を問いかけます。

最初に重視するのは発音です。といっても、「アクセントをきれいにする」ためではありません。「聞く力」を鍛えるためです。「light」と「right」、「ship」と「sheep」の違いを聞き分けるトレーニングをすると、英語が脳に入ってくる仕方が変わります。その音がはっきりしてくると、リスニングが「当てずっぽう」ではなくなり、語彙が定着する場所ができます。

もうひとつの変化は、翻訳を学習の中心から外すことです。言葉を日本語訳ではなく、イメージや意味に直接つなげます。最初は非効率に感じるかもしれません——翻訳は馴染みがあって楽だから。でも、その「楽さ」こそが習慣を維持してしまうんです。直接的なつながりは、一度できれば速くなりますし、英語で考えながら話すためには不可欠です。

また、この方法では「間隔反復」という仕組みを使います。これは単純に、脳が忘れかけるタイミングで復習するということです。もっと勉強するのではなく、ちょうどいいタイミングで勉強する。そうすれば、必要なときに言葉が出てくるようになります。文法は、ルールではなく文から学びます。実際に言いたい表現を丸ごと覚えて、使っているうちに構造が自然と身につきます。

最初はつらく感じる理由

学習法について語られるとき、よく省かれることがあります。良いトレーニングは、心地悪く感じることがあるということです。

すでに知っていることを復習するのに慣れていると、思い出す力や聞く力を鍛えるやり方は、遅くて疲れるように感じます。でも、その不快感は危険信号ではありません。それは「努力を伴う学習」の感覚なんです。特に日本では、大人の学習者は「間違いを避ける」「正解だと確信できるまで待つ」ように訓練されてきました。でも、話す英語はそういう条件では育ちません。快適さが来る前に、使うことで育つんです。

レッスンの役割

本やアプリは脳を準備させることができます。でも、本物の会話の代わりにはなりません。会話には、タイミング、プレッシャーの中での聞き取り、その場で相手に合わせる力が必要です。そして、間違いが当たり前で、罰せられない場所が必要です。

私のレッスンでは、こうした考え方を実践しています。必要に応じてペースを落とし、発音を明確に、でも優しく指導し、説明し直すのではなく記憶から言葉を引き出す練習をします。目標は完璧な英語ではありません。実際に使える英語——必要なときにちゃんと機能する英語です。

この考え方は、私の国内イマージョンコースにも組み込まれています。一日中英語を使いながら、休憩や振り返りの時間もあり、無理に押し続けることはありません。

まず小さく始めてみる

このアプローチが初めてなら、最初のステップは小さくていいんです。10分間、英語の音のペアを注意深く聞いてみる。イメージベースの単語カードを1枚作ってみる。すでに知っているルールではなく、実際に言いそうな文を1つ覚えてみる。

タイマーをセットして、鳴ったら終わりにする。進歩は「量」ではなく「繰り返し」から生まれます。

この本はもっと深いところまで踏み込んでいます——記憶、忘却、復習の仕組み、そしてなぜ小さな変化がこれほど大きな違いを生むのか。でも、その話は土台ができてからです。まずは発音、翻訳ではなくイメージ、そして復習を自動化してくれる仕組み。

最後にひとつ

何年も勉強したのに話せるようにならなかったことに苛立ちを感じているなら、その気持ちは当然です。時間を無駄にしたわけではありません——ただ、間違ったシステムの上に土台を築いてしまっただけです。

やり方を変えれば、その土台はまだ活かせます。英語は「あるかないか」の才能ではありません。トレーニング次第で伸びる「スキル」なんです。