英語の勉強法について調べると、アドバイスは山ほど出てきます。「毎日勉強しましょう」「フラッシュカードを使いましょう」「字幕なしで映画を見ましょう」「ネイティブと話しましょう」。どれも間違いではないし、もっともらしく聞こえます。でも実際にやってみると、3週間もすれば義務感のほうが強くなって、「なんで続かないんだろう」と思ったことはありませんか。

長年教えながら研究を読み続けてきて感じるのは、こうしたアドバイスの多くは間違いではないけれど、本質ではないということです。テクニックやコツの裏側に、本当に大切なことは数えるほどしかなくて、そこさえ押さえれば残りは自然とついてくることが多いと思います。

この記事では、その中でも特に大切な4つをお伝えします。どれも言語習得の研究が長年にわたって支持してきたもので、努力の量よりも、時間の使い方に関わるものばかりです。

この記事の内容: 言語習得の成功を左右する、研究で実証された4つの要素を紹介します。読了時間:約7分

目次


1. まず「わかる」を先にする

多くの英語コースは、初日からスピーキング練習が始まります。フレーズを繰り返して、文を組み立てて、まだ十分にインプットがないうちから英語を「出す」練習をさせられる。「やっている感」はあるかもしれません。でも、言語習得の研究が示しているのは、もっと効果的な順番があるということです。

脳には、言語のパターンを自動的に見つけ出す仕組みが備わっています。「だいたいわかる」レベルの英語——言語学では「理解可能なインプット」と呼びますが——をたくさん聞いたり読んだりしていると、文法を意識的に暗記しなくても、脳が自然にルールを拾い始めます。これは裏ワザでも近道でもなく、1980年代から広く研究されてきた言語習得の基本的な仕組みです。

ただし、このプロセスにはある程度決まった順番があります。基礎が固まる前に難しい文法を詰め込もうとしても、壁にぶつかることが多いのは、脳がステップを飛ばせないからです。植物の成長と同じで、急がせても早くは咲きません。

発音も早い段階で取り組むと効果的ですが、多くの人が想像するのとは少し違う方法です。英語の音を「出す」より先に、日本語にはない音の違いを「聞き分ける」練習をすると、その後のスピーキングがずっと自然になります。『Fluent Forever』の著者Gabriel Wynerがこのアプローチについて詳しく書いていて、以前の記事で紹介しました。最初は逆に感じるかもしれませんが、試してみると腑に落ちると思います。


2. 好きなことを英語で楽しむ

いつも思い出すアドバイスがあります。「無難で済ませられるときでも、楽しい方を選ぼう」。英語学習での「無難」とは、教科書やテキスト、構造化された練習問題のこと。学習のために作られた教材で、確かに機能はします。でも、興味がわかない内容を続けるには気合いが必要で、気合いにはいつか限界が来ます。

本当に好きなコンテンツを英語で楽しんでいるときは、何かが違います。テストの点のためではなく、内容そのものに引き込まれて学んでいるとき、脳は出会った情報をより深く記憶に残しやすくなる——研究はそう示唆しています。好きなことには自然と注意が向くし、注意こそが学びを動かす力です。ドーパミンと記憶定着に関する神経科学的な説明もありますが、実感としてはもっとシンプルな話です。

効果的なアプローチのひとつに、「アイランド・ビルディング」と呼ばれるものがあります。一般的な単語リストから覚えるのではなく、自分がすでに好きなテーマから始める方法です。写真が好きなら、英語の写真チャンネルやフォーラムをフォローする。料理が好きなら、英語のレシピを探してみる。好きなことと結びついた単語は定着が早くて、気づけば自分だけの小さな「英語の島」ができている。教科書から与えられたものではない、自然で自分らしい英語の世界です。20以上の言語を話すポリグロットのSteve Kaufmannも、こうした興味に基づくインプットが自分の学習で最も大切だったと語っています(こちらの記事で詳しく紹介しています)。


3. わからないことを怖がらない

これは言うほど簡単ではありません。多くの人は、間違い=失敗だと教わって育ちました。学校ではミスをすれば減点。会話で間違えれば恥ずかしい。だから間違えそうな場面を避ける癖がつきます。でも英語学習では、それが大きな壁になります。混乱しているときこそ、本当の学びが起きているからです。

何かを言おうとして間違えたとき、自分の知識のギャップが見つかった瞬間です。そのギャップは、気づいてしまえば埋めるのはずっと簡単です。言語産出に関する研究もこれを裏付けていて、話そうとして——つまずくことで——脳が「ここが足りない」と気づき、次にその表現に出会ったときに吸収しやすくなります。

わざと間違えましょう、という話ではありません。大事なのは、言語学習はそもそもちょっとドタバタした、遊びのようなプロセスだと受け入れること。上達が早い人を見ていると、会話をテストのように捉えるのをやめた人が多い気がします。わからないことに焦らず付き合えるようになれば、それだけで大きなハードルがひとつなくなります。


4. 完璧より「続ける」を選ぶ

アリストテレスの言葉とされるものに、「卓越は行為ではなく、習慣である」というのがあります。本当にアリストテレスが言ったかどうかはさておき、英語学習にはぴったりの考え方です。上達している生徒さんを見ていると、土曜日に5時間集中してその後2週間何もしない人よりも、毎日ほんの少しでも何かをしている人のほうが多いです。

歯磨きのように自動で動く英語の習慣を作ることは、たまに頑張る集中学習よりもはるかに大切です。モチベーションは当てになりません。新しいことを始めたときは高くても、新鮮さがなくなれば下がります。でも、習慣にモチベーションは要りません。きっかけとルーティンさえあれば、続ける負担はほぼゼロに近づきます。

1日に1〜3語の新しい単語を覚えるのは、小さすぎると思うかもしれません。でも、1年続ければ300〜1,000語。理解できること、言えることが少しずつ変わってきます。効果的なフラッシュカードの作り方を知っていれば、定着率はさらに上がります。そして何より大切なのは、この日々の積み重ねが「オートマティシティ」——ルールを意識せずに言葉が自然に出てくる力——を育てることです。文法テストに受かる力と、実際に会話ができる力。その違いは、ここにあります。


この4つを実践するということ

この4つは、特別な努力や語学の才能を必要としません。脳が自然に学ぶ仕組みに逆らわず、それに沿って時間を使うということです。わかるインプットに触れて、好きなコンテンツを選んで、つまずくことを恐れず、地道に続ける。

もし英語を長く勉強してきて行き詰まりを感じているなら、「もっと頑張る」ではなく「やり方を変える」ことが必要なのかもしれません。気合いを習慣に、完璧主義を継続に切り替えたとき、変化が起きることが多いと感じています。

実際のレッスンでこの考え方がどう活きるか、体験していただけたらうれしいです。体験レッスンはリラックスした雰囲気で、このアプローチが自分に合うかどうか気軽に確かめられます。