何かを学んでから20分後には、約40%を忘れています。1日後には、約70%が消えています。これは個人の問題ではありません。1880年代にヘルマン・エビングハウスが発見し、その後の記憶研究で確認されてきた「忘却曲線」という現象です。

あなたの脳は壊れていません。進化の中で身につけた、まさにそのとおりの働きをしているんです。つまり、重要じゃなさそうな情報をフィルタリングすること。問題は、脳が「重要じゃない看板」と「実際に必要な単語」の違いを判断できないことです。新しい言葉は、意図的に「これは大事」と示さない限り、ノイズと一緒に捨てられてしまいます。

このフィルタリングの仕組みを理解し、それに逆らうのではなく活用する方法を知ることが、単語の定着を根本から変えます。


脳が忘れるのには理由がある

脳は「重要じゃない」と判断した情報をどんどん捨てていく。これは当然のこと。道ですれ違った人の顔や、チラッと見た看板を全部覚えていたら頭がパンクしてしまう。

「クッキー」という言葉を思い浮かべてみて。頭の中で何が起きる?ただの文字じゃないよね。焼けるにおい、サクッとした食感、熱くて舌をやけどしたあの時——言葉を聞くだけで、いろんな記憶や感覚が一気に蘇る。脳が長年かけて、その言葉のまわりに膨大なつながりを作ってきたから。

でも新しい英単語「puppy」は、最初はそういうつながりがゼロ。ただの変な音。脳のフィルターは「これ、いらないノイズだな」と判断して捨ててしまう。外国語の単語がすぐ忘れられるのはこれが原因。母国語の言葉みたいな、豊かな意味の網がないから。

だから単語を定着させるには、そのつながりを自分で作らないといけない。イメージや体験、個人的な思い出と結びつけるほど、脳は「これは覚えておく価値がある」と判断してくれる。

単語リストを何度も眺めても効果が薄いのはこれが理由。眺めるのは「認識」であって「想起」じゃない。ページで見れば「知ってる!」と思えるのに、いざ話そうとすると出てこない。それが認識と想起の違い。


方法1:復習じゃなくてテストする(アクティブリコール)

一番効果があるのは、復習をやめてテストを始めること。

やり方はシンプル。単語を勉強したら、教科書を閉じる。白い紙を取り出して、覚えている単語を全部書き出してみる。見ない。ただ座って、一つずつ記憶から引っ張り出す。

これは復習より難しく感じる。それがポイント。思い出そうとする努力そのものが、長期記憶を作る。研究でも、一回自分でテストするほうが、同じ内容を何度も見直すより効果があることがわかっている。苦労して思い出すことが、実際の学習になっている。

さっきの生徒とやってみたとき、最初はシンプルなことから始めた。『Green Eggs and Ham』(『緑のたまごとハム』)を読ませて、それから白い紙を渡して、物語から覚えている単語を全部書き出してもらった。教科書の会話文の単語でも同じことをやった。すぐに違いが出た。魔法じゃなくて、やっと正しいスキルを練習し始めたから。ページを見て認識するんじゃなくて、記憶から言葉を引き出す練習。


方法2:単語を現実のものにつなげる

頭の中でふわふわ浮いている単語は不安定。「puppy」が「子犬」とだけ結びついていると、二つの音がつながっているだけで、すぐ消えてしまう。

でも、「puppy」が近所の犬——先週自転車を倒した、あのドジなゴールデンレトリバー——と結びついていたら?それは消えにくい。言葉に重みがつく。抽象的な翻訳じゃなくて、自分の経験にくっついているから。

新しい単語を覚えるとき、具体的な何かを思い浮かべてみて。ぼんやりしたイメージじゃなくて、自分の生活の中にある何か。どこで見た?どんな見た目だった?触った感じは?鮮明で個人的なつながりがあるほど、その単語は忘れにくくなる。

これが効くのは、記憶が単独で保存されないから。単語は脳の中でつながりのパターンとして存在していて、つながりが多いほど、必要なときにその単語にたどり着く道が増える。


方法3:復習のタイミングを工夫する(間隔反復)

単語を復習するベストなタイミングは、忘れる直前。

早すぎると、簡単すぎて脳が頑張らない。記憶が強化されない。遅すぎると、もう忘れていて、最初からやり直しになる。

ちょうどいいのは、あのイライラする瞬間。「えーと、知ってるんだけど…」と言葉が出かかっている時。この苦労のあとに思い出せると、簡単に認識するより何倍も記憶に残る。

効果的なパターン:数時間後に復習、次の日にもう一度、数日後、一週間後…と間隔を広げていく。思い出せるたびに次の間隔が長くなる。繰り返しで暗記するんじゃなくて、タイミングを計った挑戦で想起力を鍛えていく。

これがテスト前の詰め込みが役に立たない理由。テストには受かるかもしれないけど、一ヶ月後には消えている。時間をかけて間隔を空けた復習だけが、長持ちする記憶を作る。


勉強の仕方を変えてみよう

土曜日に「puppy」を覚えて、月曜日には忘れてしまう生徒は、失敗しているんじゃない。脳が自然にやることをやっているだけ。解決策は気合いでも、もっと長い勉強時間でもない。単語との関わり方を変えること。

眺めるんじゃなくて、自分でテストする。単語を現実の体験につなげる。復習を数日に分散させる。

特別なツールやアプリがなくてもできる(もちろんあれば便利だけど)。白い紙と正直な努力があれば十分。大事なのは、記憶は受け身じゃなくて、自分で引き出すことで作られるということ。苦労は問題じゃなくて、プロセスの一部。

単語がいつも指の間からこぼれ落ちる感覚があるなら、このやり方で変わるかもしれないよ。


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