Robloxって何?藤枝の保護者が知っておくべきこと【第1部】
先日、10歳の男の子を持つお母様と2時間ほどお話しする機会がありました。彼女の息子さんは、Robloxというゲームにのめり込んでいて、携帯を手放せない状況になっているそうです。
食事中もスマホを見続け、夜遅くまで起きていて、取り上げようとするとかんしゃくを起こす。お母様は「どうしたらいいのか分からない」と、とても心配されていました。
この記事は、そのお母様と、同じような悩みを抱える藤枝の保護者の方々のために書きました。まずは「Robloxとは何か」を理解することから始めましょう。理解してから行動することで、より効果的な対策が取れるようになります。
Robloxって、本当は何なの?
ゲームではなく「プラットフォーム」
多くの保護者が「Robloxはゲーム」と思っていますが、実は違います。Robloxは「ゲームのYouTube」のようなプラットフォームです。
YouTubeで様々な動画を見られるように、Robloxでは何百万ものユーザーが作ったゲーム(「エクスペリエンス」と呼ばれます)を遊ぶことができます。子供たちは遊ぶだけでなく、自分でゲームを作ることもできます。
Robloxの究極のビジョンはゲームを超えています。同社の企業文書には「メタバース」という言葉が16回も登場し、仕事、遊び、社交が可能な相互接続された仮想世界のプラットフォームとして自らを位置づけています。この野心的な範囲が、プラットフォームがユーザーを常に引き付け続けるよう設計されている理由を説明しています。
驚くべき規模
- 2024年半ばの時点で、プラットフォームには7,090万人のデイリーアクティブユーザーがいました
- 平均的なユーザーは1日2.3時間をプラットフォームで過ごす
- ユーザーの60%が16歳以上(日本の保護者はこれに驚きます)。ただし、デイリーユーザーの22%は13歳未満であり、何百万人もの幼い子どもたちがプラットフォームを利用していることを意味します
- 遊べるゲームは何千万種類以上
- Robux(ロバックス)という仮想通貨で様々なアイテムを購入できる
- Robloxは2023年に28億ドルの収益を上げ、前年比25.55%増を記録
- プラットフォームのビジネスモデルは「ブッキング」(仮想通貨の売上)によって推進されており、2023年には23%増の35億ドル超に成長
- Robloxは2023年にクリエイターに7億4,100万ドルを支払っており、遊ぶだけでなく、一部のユーザーが大きな収入を得る場所にもなっています
つまり、お子さんが「Robloxをやっている」と言っても、実際には何十種類ものゲームで遊んでいる可能性があります。そして、クリエイターがユーザーを引き付け続けるための経済的インセンティブは莫大です。
なぜ子どもたちは夢中になるのか
息子さんがRobloxに夢中になっているのは、決して「悪い子」だからではありません。Robloxはそもそも、子どもが夢中になって長く遊び続けるように設計されています。
1. 友達との繋がり
Robloxは、今の子どもたちにとって公園のような社交の場です。学校の友達と一緒にゲームをしたり、チャットしたり。リアルで会えない時でも、Robloxで繋がっていられます。
「ゲームを取り上げる」ということは、大人で言えば「友達と会うのを禁止される」ようなものです。
2. 創造性の発揮
Robloxでは、自分でゲームを作ることができます。建物を作ったり、ストーリーを考えたり。これは創造的な遊びであり、お子さんにとっては「作品づくり」でもあります。
RobloxのCEOは、ユーザーが作成したゲームを「メタバース版のハリウッドのバックロット、またはYouTubeクリエイターのスタジオ」と表現しています。多くの子どもたちにとって、これは「ただのゲーム」ではなく、真の可能性を秘めた本格的なクリエイティブワークです。
3. リアルタイムイベント(FOMO:取り残される恐怖)
Robloxでは、期間限定のイベントやアイテムがあります。「今やらないと手に入らない」「友達がやっているから自分も」という気持ちが、子どもたちを画面に釘付けにします。
4. 達成感のシステム
レベルアップ、バッジ獲得、ランキング。こうした「達成感」を与えるシステムが、子どもたちの脳を刺激し続けます。大人がSNSやスマホゲームにハマるのと同じ仕組みです。
保護者が心配するのは正しい:Robloxの実際のリスク
「子どもが楽しんでいるなら別にいいのでは?」と思う方もいるかもしれません。でも、保護者の直感は正しいのです。Robloxには実際に危険が存在します。
統計が示す現実
- Robloxは安全対策に多額の投資をしており、3,600人の安全担当者を雇用し、テキスト、画像、音声の不適切なコンテンツをスキャンするためにAIを使用しています。しかし、同社の信頼と安全担当副社長は「完璧になれるか?いいえ」と認めています
- NCMEC(国立行方不明・被搾取児童センター)は2023年に3,600万件以上の児童性的搾取疑惑の報告を受け取り、そのうち95%以上がRobloxのようなソーシャルメディアやゲームプラットフォームから発信されたものでした
- 世界中の法執行機関がこのプラットフォームについて警告を発しています。イギリスの国家犯罪対策庁(NCA)は、Robloxのようなゲームの機能を使って子どもたちと信頼関係を築き、その後他のプラットフォームに誘い出して搾取する犯罪者の手口を指摘しています。NCAは、保護者に対して、子どもが知っている人とのみやり取りできるようにプライバシー設定を確認し、見知らぬ人から連絡があった場合の対処法について率直な会話をするよう、具体的にアドバイスしています
- これらは「理論上の危険」ではなく、実際に起きている事件です
1. 接触のリスク:知らない大人との繋がり
Robloxでは、誰とでもチャットできます。相手が子どもか大人か、本当のことを言っているのかどうか、確認する方法はありません。
悪意のある大人が子どものふりをして近づくケースが実際に報告されています。最初は優しく、だんだんと個人情報を聞き出したり、不適切な要求をしたりします(グルーミング)。
2. コンテンツのリスク:不適切なゲーム
Robloxには何千万ものゲームがあり、すべてをチェックすることは不可能です。フィルターをすり抜けて、暴力的・性的な内容を含むゲームが存在します。
オーストラリアでは、「公衆トイレごっこ」という名前のゲームで、性的な内容が含まれていた事例が報告されています。保護者たちは、Robloxの対応が遅すぎると感じており、プラットフォーム側のモデレーションだけに頼ることができない理由を示しています。
性的コンテンツを超えて、Robloxは過激派コンテンツとも戦っています。2019年のクライストチャーチモスク襲撃事件のような大量殺人事件の仮想再現も含まれます。潜在的な危険の広がりは、積極的な保護者の監督が不可欠である理由を強調しています。
3. お金のリスク:詐欺とクレジットカードの無断使用
子どもたちを狙ったRobux詐欺は深刻なリスクです。よくある手口には以下のようなものがあります:
- 詐欺サイト:「無料Robux」を謳いながら、実際にはアカウントのパスワードを盗むために設計されたもの
- 悪質な取引:不公平なゲーム内取引を持ちかけ、子どもたちから貴重なバーチャルアイテムを騙し取る者
- 無断課金:親のクレジットカードで勝手に課金
その規模は驚異的です:2023年に、Robloxコミュニティは2,600万個のバーチャルアイテムを作成し、ユーザーは18億回のアバター更新を行いました。これは、子どもたちが外見をカスタマイズするためにRobuxを使うよう感じる巨大なプレッシャーを示しています。
子どもは、仮想通貨が「本当のお金」だという感覚が薄いため、知らないうちに大きな金額を使ってしまうことがあります。
4. いじめのリスク:24時間続く可能性
学校でのいじめは、家に帰れば一旦終わります。でも、Robloxでのいじめは24時間続く可能性があります。
- 悪口を言われる(サイバーブリング)
- ゲーム内で嫌がらせを受ける(「griefing」と呼ばれます)
- 個人情報を晒される(ドキシング)
お子さんが「ゲームをやっている」と思っていても、実は辛い思いをしているかもしれません。
5. 健康へのリスク:睡眠・運動不足・依存症状
- 睡眠不足:夜遅くまでプレイすることで、学校生活に影響
- 運動不足と肥満:長時間座ったままの生活
- 不安と抑うつ:過度なスクリーンタイムとの関連が研究で示されています
- 依存症状:取り上げるとかんしゃく、常にゲームのことを考えている
でも、ここが大事:禁止では解決しない
専門家たちが口を揃えて言うことがあります。「Robloxを完全に禁止しても、問題は解決しない」
禁止がうまくいかない理由
- 子どもは隠れてやるようになる:友達の家で、図書館で、こっそりと
- 信頼関係が壊れる:親子の会話がなくなり、何も相談してくれなくなる
- 社会的孤立:友達がみんなRobloxで繋がっている中、一人だけ取り残される
- 学びの機会を失う:デジタルリテラシーを教えるチャンスを逃す
多くの児童安全専門家やテクノロジー専門家の間では、Robloxがあまりにも大規模で子どもたちの社会生活に深く統合されているため、完全な禁止では効果的に管理できないという共通認識があります。
つまり、「Robloxとどう付き合うか」を学ぶことが、現代の子育てに必要なスキルなのです。
より効果的なアプローチ
最も効果的な戦略の一つは?お子さんと一緒にゲームをプレイすることです。これは、プラットフォームの魅力を理解し、リスクを直接確認する最良の方法です。ゲームの専門家になる必要はありません。一緒に15〜30分プレイするだけで、お子さんが何に惹かれているのか、そしてどのような懸念事項に対処すべきかが見えてきます。
専門家はまた、「ファミリーメディア規約」の作成も推奨しています。これは、スクリーンタイム、オンライン行動、アプリ内購入に関する明確なルールと期待を定めた文書です。全員が同じ認識を持つことで、対立を防ぎ、デジタル責任を教えることができます。これにより、抽象的な懸念が、全員が理解する具体的で合意された境界線に変わります。
行動を起こす準備はできましたか?第2部:安全設定の完全ガイドへ続く
このお母様(そしてあなた)ができること
答えは、パニックになることでも、完全に禁止することでもありません。関与し、教育し、境界線を設けることです。
Robloxは「遊び場」であり「リスク」でもある
公園を想像してください。公園は子どもたちにとって楽しい場所ですが、知らない人が来ることもあるし、怪我をする可能性もあります。
だから、親は:
- 公園に一緒についていく(小さい子の場合)
- 「知らない人についていかない」と教える
- 何かあったらすぐに言うよう伝える
- 時間を決める(夕方6時までに帰ってきなさい)
Robloxも同じです。完全に安全にすることはできないけれど、リスクを減らし、子どもを守る方法はあるのです。
次のステップ
この記事を読んで、「Robloxって何か」「なぜ心配なのか」が少し理解できたのではないでしょうか。
でも、理解しただけでは何も変わりません。具体的な行動が必要です。
次の記事(第2部)では:
- Robloxの安全設定を、ステップ・バイ・ステップで設定する方法
- スクリーンショット付きの詳しい手順
- チェックリスト(全部できたか確認できます)
第3部では:
- なぜ子どもがそんなに激しく反応するのか(そしてかんしゃくへの対処法)
- 実際に効果がある5つの戦略
- お子さんと一緒にルールを作る方法(押し付けるのではなく)
- 段階的な4週間の実践アプローチ
- 専門家の助けが必要なサイン
最後に:あなたは一人じゃない
2時間お話ししたお母様に、私はこう伝えました。
「これはあなただけの問題じゃありません。世界中の親が同じことで悩んでいます。そして、解決策はあります。」
大切なのは:
- パニックにならない
- 情報を集める(今、この記事を読んでいるあなたは、すでにその一歩を踏み出しています)
- 一つずつ、できることから始める
- 完璧を目指さない
あなたは素晴らしい親です。なぜなら、この記事を読むくらい、お子さんのことを心配し、行動しているからです。
次の記事で、具体的な設定方法を一緒に学びましょう。
よくある質問
Robloxは10歳の子どもにとって安全ですか? Robloxには安全機能がありますが、自動的に安全とは言えません。第2部で説明する適切な保護者向け設定と、第3部で説明する家庭のルールを組み合わせることで、性的接触、不適切なコンテンツ、詐欺のリスクを大幅に減らすことができます。
子どもは実際に毎日何時間Robloxをやっていますか? 平均的なRobloxユーザーは1日2.3時間をプラットフォームで過ごします。藤枝のご家庭には、平日は30分〜1時間、週末は1〜2時間から始めることをお勧めします。
見知らぬ大人が子どもに連絡できますか? はい、デフォルト設定では誰でも誰とでもチャットできます。年齢確認もありません。だからこそ、第2部で説明する保護者向け設定でチャットを「友達のみ」に制限するか、完全にオフにすることが重要です。
Robloxはお金がかかりますか? Robloxは無料でダウンロードしてプレイできますが、ゲーム内購入にはRobux(ロバックス)という仮想通貨を使います。支出制限を設けないと、お子さんが知らないうちに高額な請求が発生する可能性があります。13〜15歳の男の子の40%以上が「無料Robux」詐欺に遭っています。
日本の子どもにとって最大の危険は何ですか? 主なリスクは、チャットを通じた性的接触、ゲーム内の不適切な性的・暴力的コンテンツ、Robuxを狙った詐欺、24時間続くサイバーいじめ、そして睡眠や学業に影響するゲーム依存症です。
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シリーズ記事
- 第1部(この記事):Robloxって何?保護者が知っておくべきこと
- 第2部:Robloxの安全設定:完全ガイド
- 第3部:Robloxとの付き合い方:健康的なルール作り
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